私達は多くの被害者から話を聞いてきました。そのなかで、多くの方を騙した「チャネラー」の手口を紹介します。ここに書く理由は、一人でも今後被害者がでないことを願ってのことです。

このチャネラーを、H社のU氏と呼ぶことにします。

U氏は、多くの投資不動産コンサルタントに、「投資意欲のある人を紹介してくれませんか、紹介料をお支払いします」と声をかけているようです。最初に紹介された方の、属性(勤務先や職業)などを聞き出します。この間はU氏が直接話しをするケースもありますが、最初は社員にコンタクトを取らせるケースもあるようです。

2回目は、U氏が乗り出し、相手も年収などをそれとなく聞き出しながら、「あなたにピッタリの物件を近い内に紹介しますよと持ちかけます。

物件は、自社が集めたものもあるかもしれませんが、スルガ銀行に物元チャネル(売りたい物件をスルガBKに持ち込む業者)が持ち込んだ物件から、適当なものを用意します。

準備した物件の事業計画書を作成します。ここからU氏の手口のスタートです。事業計画は次のように作成すると推測しています。

スルガBKが算出した融資限度額を基に、毎月の返済金額を算出。
次に算出した毎月の返済額が、家賃収入の70%以内に収まるように満室想定家賃を決めます。
ここで∪氏が算出した満室想定家賃は、実際の家賃より高くてもいいのです。
私達が調査したある物件では、実際の満室想定家賃は70万円/月でしたが、被害者に提示した満室家賃は110万円/月です。この物件の返済元利は75万円/月です。
事業計画書では、管理費や税金などを払っても20万程度のこるように記されています。

3回目に被害者にあったときに次のように言います。

「あなたに、良い物件を紹介できます。ただ良い物件なので買いたいという希望者が何人もいますので、決断は早めにお願いします」といって、用意した事業計画諸書を示します。被害者は、収支を見て買いたいという気持ちがでてきます。

次に、殺し文句が2つあります「あなたは属性が良い。一流企業に努めておられるので、手付金はいりません。フルローンでこの物件が購入できます。リスクはほとんどないでしょう。他の人も欲しがっていますが、フルローンにならないので手が出せないのです。」

加えて、「弊社が家賃保証します。たとえ空室がでても満室になるまで家賃は、保証します」「それだけいい物件だということです」

物件を見学したいt被害者が申し出ると。「見に行ってもいいですが、他の方が購入家ってされたら諦めてください」「投資不動産では、物件を見る人はいませんよ」と決断を促します。「早い決断をお待ちします」

被害者は、投資したいという気持ちが先立っていますので、心理的にリスクは実は見えなくなっています。ローマのカエサル(シーザーともいう)「人は見たいものしか見えなくなる」という状態になります。

ほとんどの人は3日後には購入決意して その後1週間以内に契約してしまします。

実際の家賃より高い金額を、しばらくは投資者に払っています。もちろん一月30万円程度は損します。でもそれ以上に儲けています、月30万を半年程度払っても痛くはありません。この間にも修繕費という名目で、家賃を低く支払って損失は抑えます。

ここから、U氏の独特の手口です。この被害者に2棟目の購入可能性があるとすると、それまで家賃保証は継続します。1棟しか買えないと判断すると、4〜5ヶ月で家賃保証管理契約を突然打ち切ります。

ある日、家賃が入ってこなくなるので、投資者はビックリします。U氏に電話しても出てきません。社員がきまり文句のように、「管理契約は継続できません。いつでも解約できると契約書に書いています」「今後は地元の管理会社から家賃の支払いがあります」

個々ではじめて、騙されたことに気が付きます。

この時点で弁護士などに相談しても、ほとんどの弁護士は相手にしてくれません。言うとすれば「払えなくなれば、自己破産が一番良い方法です」4人の内3人の弁護士からそう言われた被害者がいます。

結局、スルガ銀行に行っても、「不動産業者が悪いので私達に責任はありません」「できるとすれば 金利を少し下げてあげましょう。」でおしまいです。

 

調査室